アシスタントのミカコ「先生、最近寒すぎです?」
行政書士の濱西「冬だからね。だんだん寒くなってくるね。」
ミカコ「そんな寒い中、この前お墓参りに行ってきたんです。」
濱西「中途半端な時期に行ってきたね。もっと年末ギリギリに行くもんじゃないの?」
ミカコ「まあそうなんですけど、あたしにも色々予定があるんです。」
濱西「そうなの。で、今日は墓参りの苦労話なの?」
ミカコ「いえ、違います。お墓参りをしながら思ったことがありまして。お墓って結構値段がするものじゃないですか?」
濱西「墓地とお墓の値段合わせたら、ビックリするくらいの額になるよね。」
ミカコ「そうなんです。でね、お墓を相続した人って、自分の相続分の中に、お墓の金額って含まれるのかなーと思って?」
濱西「墓参りしながら、お金のこと考えてたの?」
ミカコ「違います。相続のこと勉強してるから、気になったんです。」
濱西「まあ、そういうことにしときましょうか。それでは、勉強熱心なミカコちゃんに答えをお教えいたしましょう。」
ミカコ「お願いします。」
濱西「祭祀財産は遺産相続の対象になりません。」
ミカコ「???祭祀財産って?」
濱西「祭祀財産とは、祖先をお祭り(祭祀)する財産のことで、系譜、祭具、墳墓に分けられます。」
ミカコ「全然わかりません。」
濱西「簡単に言えば、系譜っていうのは家系図のこと。祭具は仏壇や位牌のこと。墳墓とはお墓や墓地のことです。」
ミカコ「あぁー、どれもあまり貰っても嬉しくないですね。」
濱西「なんという罰当たりな。今のは聞かなかったことにして、お墓や仏壇は祭祀を受け継ぐ人が貰い、遺産分割の対象にはなりません。」
ミカコ「なるほど。それでは、その祭祀を受け継ぐ人って、どうやって決めるんですか?」
濱西「三段階ありまして、亡くなった方が指定するか、遺言の中に書いておくと、その人に決まります。それがない場合は、住んでいる地域の慣習ですね。」
ミカコ「例えば?」
濱西「家を継いだ人が受け継ぐとかですかね。」
ミカコ「次男が家を継いだ場合は、次男が祭祀も受け継ぐということですね。」
濱西「そうです。そして、慣習も特にないときは、家庭裁判所の審判により決められます。」
ミカコ「なるほど。じゃあ、あたしの家はまだお祖母ちゃんが生きてるし、あたしになることはなさそうですね」
濱西「あっ、ごめん言い忘れてたけど、祭祀を受け継ぐ人は相続人でなくても構いません。孫とか、息子の嫁、あるいは血縁のない人でも祭祀を受け継ぐことはできます。」
ミカコ「じゃあ、あたしでもなれるってこと。何かビジネスの匂いがしてきませんか?」
濱西「祭祀承継人、受け付けますって事?そうなると毎日どこかの墓参りだよ。」
ミカコ「それはやっぱり嫌かも。いいアイデアかと思ったんだけどなぁー。」
濱西「ちなみに、祭祀財産を受け継いでも、その値段を相続分から減らされることはありません。それとは逆に、法要などの費用を、遺産から余分に貰うこともできませんので、お気をつけて。」
ミカコ「勉強になりました。」