アシスタントのミカコ「先生、何食べてるんですか?」
行政書士の濱西「三時のお茶にドーナツでもと思って。」
ミカコ「あたしのはどこ?」
濱西「ごめん、ないです。」
ミカコ「はぁ?普通二人いるんだから2個買ってくるものじゃないんですか?」
濱西「うん、そうだね。その言葉をそっくり返そう。」
ミカコ「社会人として、あたしはそんなことしません。」
濱西「前回一人でアイス食べてたよね?食べ物の恨みって、恐ろしいですねー。」
ミカコ「小さすぎるぜ、この人。」
濱西「何とでも言ってください。前のブログも読んでもらたったことだし、今回は代襲相続の続きを話したいと思います。代襲相続覚えてる?」
ミカコ「えーと、祖父、父、子といて、父が祖父より先に亡くなっていると、父の代わりとして子が祖父の遺産をもらえるって話でしたよね。」
濱西「はい、正解。では、たまには妻の立場から見てみましょう。旦那さんと子供が同時に亡くなった場合、妻の相続権はどうなるでしょうか?」
ミカコ「女性の立場って考えると、あたしにも可能性のある話なので、真剣に聞いてしまいます。」
濱西「普段から真面目に聞いてください。それでは、いつもの図で説明を。」
ミカコ「出ましたね。そもそもどんな時に、同時に死亡したりするんですか?病気とかだと同時ってことはないですよね。」
濱西「事故が一番多いんじゃないかと思います。ではまず、夫が先に亡くなったとしましょう。そうすると、遺産はどのようになりますか?」
ミカコ「えーっと、夫の遺産は妻と子で半分ずつですよね。そしてその後子供が亡くなっているので、子供の遺産は妻(私)のものになるんじゃないですか?」
濱西「そうです、奥さん(私)が結果的に全部貰うようになります。それでは、子供が先なくなった場合はどうでしょう?」
ミカコ「うーん、子供の遺産は、夫と妻で半分ずつですよね。そしてその後亡くなった夫の遺産は、妻が2/3、父母で1/3ってことですか?」
濱西「またまた正解。子供が先に亡くなると、奥さんは、全部の遺産を貰えなくなります。事故などで状況がわからない中、ほんのわずかな差で、遺産の額が大きく変わる可能性があるのです。」
ミカコ「なるほど、死亡時刻の前後は、揉める原因になりそうですね。」
濱西「なので民法では、死亡した数人のうちの一人が、他の者の死亡より後まで生きていたかわからないときは、同時に死亡したものと推定すると規定しました。」
ミカコ「推定って?」
濱西「多分そうだろうってことです。」
ミカコ「ヘぇー、そうなんだ。」
濱西「ミカコちゃん、ホントに勉強してるの?」
ミカコ「;;゚o゚)ギクッ!!それは置いといて、本題に戻りましょう。」
濱西「同時死亡が推定された場合、その者の間(ここでは、父と子)では、相続関係は生じないことになります。ですから、子供の遺産は、母の立場で妻が受け取り、夫の遺産は、法定相続通り、妻が2/3、父母が1/3となります。」
ミカコ「なーんだ、妻の総取りっていうのはないんですね。」
濱西「残念ながら無しです。そして同時死亡の推定は、あくまでも推定に過ぎないので、後から新事実が出て、二人の死亡の先後がはっきりすれば、遺産の協議は無効になり、再び話し合いになります。」
ミカコ「なるほど、勉強になりました。それでは、あたしはさっき買ってきたケーキで3時のお茶をします。」
濱西「僕の分は?」
ミカコ「ケーキ屋に行ったら、あと一個しか売ってなかったんですー。二つ買うつもりだったのに。」
濱西「戦いは、まだまだ続くってことか。」