アシスタントのミカコ「先生、雪降ってますよ。」
行政書士の濱西「やっぱ、椿さんの日は寒くなるね。」
ミカコ「あたしの周りのお年寄りも、みんな同じこと言ってます。ってことは、先生も。。。」
濱西「もう少しで40だからね、どっちかって言うと、そっちよりだろうね。ミカコちゃんもすぐだよ。」
ミカコ「最近遺言の話が続いてますけど、遺言を書いてて間違ったときは、どうしたらいいんですか?」
濱西「会話に繋がりがないのですが。。。そうだね、全文書き直しが一番かな。」
ミカコ「えぇ、めんどくさ。もっと簡単な方法ないんですか?」
濱西「あるにはあるんですが。じゃあ、久しぶりに下の図で解説してみましょう。」
濱西「遺言は全て記入した後に書き直しや削除をする場合は、法律で決められた方法で行わないと、その変更部分は、無効になってしまいます。民法には、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を附記して特にこれに署名し、且つ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力がない(民法968条)と書かれてあります。」
ミカコ「上の図で訂正しているのが、法律通りの訂正方法ってことですか?」
濱西「そうです。例えば5行目のところは、130を125に直して、印鑑押してるでしょ。」
ミカコ「印鑑は必要なんですね。」
濱西「そうです。そしてその行の上に、”この行二字削除 二字加入 日本太郎”という風に訂正する方法がひとつ。」
ミカコ「あぁ、署名も必要なんだ。」
濱西「署名押印は絶対忘れないようにしてください。印鑑は、遺言書の署名の下に押した印鑑を使用してくださいね。」
ミカコ「最後の方にも何か書いてますよね。」
濱西「もうひとつの方法として、欄外付記にて”○行目の○字削除○字加入”と記入します。全文削除も、同様に二本線で消し、欄外付記にて”○行目○項全文削除”と記入します。文字を付け加える場合も、上の図を参考にしてください。」
ミカコ「印鑑や署名がなかったらどうなるんですか?」
濱西「原則としては、変更は無かったものとして扱われます。宅地130を125に書き直したけど、印鑑がなかった場合、130の方が有効なものとして扱われます。」
ミカコ「原則があるってことは、例外もあるんですよね?」
濱西「あるけど、あんまり使われないね。例えば、遺言全体の内容から見て、明らかに間違っている訂正の場合には、たとえ方式違反の訂正であっても有効とされる場合もあります。」
ミカコ「じゃあ、数字が違ってる場合には認められそうにないですね。」
濱西「そういうことです。全身全霊を込めて書いた遺言書を全部書き直すのが嫌な場合は、訂正方法に気をつけてくださいね。」
ミカコ「今日はよくわかった気がします。それにしても、こんな日は、屋内の仕事でよかったって思いますね。」
濱西「喜びの途中で悪いけど、残念なお知らせがあります。この書類市役所へ出しに行ってきて。」
ミカコ「嫌です。だってこんなに寒いのに。今治で雪が降るなんて、年に数回しかないんですよ。先生行ってきてください。」
濱西「じゃあ、ジャンケンで決めようか。」