アシスタントのミカコ「先生、お客さん帰られたんですか?」
行政書士の濱西「ちょうど今、帰られたところです。お茶ありがとう、片付けとくね。」
ミカコ「いつも思うんですけど、お客さんが来られると紅茶出しますよね。コーヒーじゃなくていいんですか?」
濱西「コーヒー嫌いなんだよね。紅茶の美味しい行政書士事務所を目指してるんですけどね。」
ミカコ「そのうちカフェをやりたいなんて言わないでくださいね。」
濱西「飲食業は大変そうだから、それは無いかな紅茶専門だと、まず儲からないだろうし。で、さっきの相談なんだけど、聞いてた?」
ミカコ「所々ですけど、勉強のために聞いてました。」
濱西「簡単に説明すると、今回のお客さんは3人兄弟の次男で、長男は自営で商売するための資金を出してもらってたみたい。そして長女には結婚資金として支度金を貰ってたんだって。」
ミカコ「そして先日、父が亡くなって、近々遺産分割協議をするっていう話でしたよね。」
濱西「そう。そこで何も貰っていない次男は、遺産を平等に分けないといけないのか?という相談でした。」
ミカコ「なんか自分だけ何も貰ってないと、損した気分ですね。」
濱西「そうなんでしょうね。こういう場合は、特別受益に当てはまりそうですね。」
ミカコ「特別受益、、、なんか前に聞いたことある気がします。」
濱西「以前簡単に説明したことがあったけど、特別受益とは、亡くなった方から、
1.遺贈
2.婚姻・養子縁組のための贈与
3.生計の資本としての贈与をうけた者がいる場合は、相続分の前渡しを受けたものとして取り扱われます。」
ミカコ「長女は2番に当たるから特別受益になりそうですよね。長男はどれに当たるんですか?」
濱西「長男の場合は、3番にあたります。生計の資本の例としては、商売のため資金を出してもらったり、家を建てる時の資金を出してもらったりした場合をいいます。」
ミカコ「なるほどー、じゃあ、具体的にどういう風に計算したらいいんですか?」
濱西「遺産が3000万円あったとします。兄弟三人だと、法定相続分は一人いくらでしょうか?」
ミカコ「(・o・)ノ ハーイ!!一人につき1000万円です。」
濱西「正解です。長男には開業資金として1000万円、長女には結婚費用として500万円渡してたとします。」
ミカコ「これで次男さんが0円なら、確かに不満も出そうですね。」
濱西「この二人に渡した1500万円を遺産の3000万円に足します。」
ミカコ「全部で4500万円ですね。」
濱西「それを3で割った、1500万円が一人分の相続額となります。」
ミカコ「この後、次男さんが得する展開になっていくんですね。」
濱西「得するかどうかは、うーん、どうだろうか。まず長男の取り分は、1500万円(法定相続額)-1000万円(生前贈与額)=500万円になります。」
ミカコ「じゃあ、長女は、1500万円-500万円=1000万円ってことですか?」
濱西「そうです。そして次男が1500万円貰えます。」
ミカコ「1000万円よりは1500万円貰えた方が得してるように見えるけど、これって結局平等に分けられてるってことですよね。」
濱西「そうです。先に貰うか、後に貰うかの違いですね。」