Q.父が家のローンを残したまま亡くなりました。相続人は息子である私一人ですが、残ったローンは払えそうにありません。どうしたらいいでしょうか?
A. 相続放棄をするか、ローンを組んだ金融機関へ相談に行ってください。
まず相続放棄についてですが、相続は原則として、プラスの財産と共にマイナスの財産も相続します。ここで明らかにマイナスの財産が多い場合、家庭裁判所に申立て、相続放棄をすることで、ローンをはじめとしたマイナスの財産の相続を放棄することができます。ただしその場合は、プラスの財産も放棄することになりますので、お気を付けください。
相続人は、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3カ月以内に相続の承認または放棄をしなければなりません 。
「自己のために相続の開始があつたことを知ったとき」とは、被相続人が死んで自分が相続人になったことを知ったときです。
相続放棄という選択肢を考えつつ、まずは、ローンを組んだ金融機関を訪ねてください。
ローンを組んだ時に、「団体信用生命保険」 に入っていれば、その保険から、残りのローンは支払われます。
この保険は、住宅ローンの返済途中で死亡、高度障害になった場合に、本人に代わって生命保険会社が住宅ローン残高を支払うというものです。
保険は請求しない限り保険金が払われることはありませんので、お気を付けください。
もし保険に入っていなかった場合、金融機関との話し合いになってきます。
ローンの額にもよりますが、元本は据え置きで、利子だけとりあえず払う。
あるいはローンを組み直すという方法に変えてくれる場合もあります。
支払い期間が伸びてしまいますが、無理のない返済にしてもらえる可能性があります。
それでも無理な場合は、不動産の売却になりますが、売却にも 任意売却」「競売」という 2種類の方法があります。
「任意売却」とは、住宅ローンなどの融資を受けている人と金融機関との話し合いに基づいて、ローン返済が困難になった不動産を処分することです。
金融機関の協力を得ながら買い手を探し、不動産処分し、ローンの返済金に当てるというのが、任意売却のしくみです。
ここで住宅ローンの残債よりも高く売れれば問題はありませんが、下回る金額でしか売れない場合、残りは抵当権を外した上で、少しずつ返済していくことになります。
それでもダメなら競売になります。
「競売」の場合、市場価格の6割から7割程度しか売却価格が見込めないことが多いです。
また、競売手続き開始から落札まで3か月以上かかりるのが普通で、その間、経済的負担もかかってきます。
できるだけ早く、金融機関に相談に行くことが一番です。